秋の森の自然楽校 ② 一泊二日 @赤城少年自然の家10月13日(土)-14日(日)

 小学生低学年コース2
 21名参加 (中ボラ5名+)
全員初参加
 初シカ声静聴 初火起こし
 トラブル・ケガなし 天気よし


1.秋の赤城 夜の冒険
  ナイトハイク開始直前、玄関先の
 温度計は8度。日暮れ後、一段と冷え
 込んで、外は風が強く、すっかり陰り、
 期待の星明かりもぼんやりでした。
  湖面からの冷たい向かい風。
  あきらかに寒い。
 そして下り坂の向こうは暗く。背後から
 の外灯も弱まり吸収されながら、境界
 も子どもたちもおぼつかない、そんな夜
 と深い森の入口。小さな歩隊は一列で
 タイトになって暗闇に消えてゆく。
  緊張感が伝わる。増幅する。
  (寒い)ⅹ(暗い)ⅹ(怖い)は乗数化
 して、分母の経験値のなさが恐怖心を
 さらにを煽る。
    フルエの最大化
    恐怖の青天井  
 身体は固くなり、皮膚感覚も心もとなく
 鈍ってゆき、もはや耳に頼るしか世界は
 わからない。見えない森。知らない自然。
 鼓動は激しく、音としてはっきりする。
 ざわメキ、ざわツキ、我慢できずにどこ
 からともなく声が漏れだし始めると、
  中学生がすかさず一喝・・
   『シーッ!』
   『シズカニ!』
 戒めのような指示が飛び、一団はやがて
 静止され、先導者の声で
   『目をつぶって』
   『深呼吸して ゆっくりふかく。』
   『ウゴカナイ。オトタテナイ。』
 落ちつくまで、やさしく、サトスかのよう。
 なだめるかのよう、自らの呼吸を大きく、
 鼓動を確認しながら、じょじょに周囲の
 静けさに意識が向く。聴力にシフトした
 感覚器系はセンサーを精一杯のばし、
 暗闇の世界を耳で量る。
  風の中身がわかりだす。 厳粛な。  
      僅か30秒もないこの瞬間。静寂。
      いつも特別で、大切で素敵なひと時。
      みんな小動物のように、ウゴカナイ。
 やがて、『ゆっくり目を開けて』の合図に
 静かな歓声があがる。先ほどとは別の
 世界、視力で補正された奥行きのある
 わずかだが全体図が見通せる森。
  イケる。 
 好奇心がのぞき、歩調もしっかり、夜の
 森の探検・ナイトハイクのはじまり。
 無線でGOの合図とともに、黒子が動く。 
  今夜の作戦はかんぺき。
 前回の反省から道路側を中学生が封鎖
 4人が等間隔で存在を知らせ、左右から
 大人が熊笹の藪を漕ぎながら、中央の
 テラス状の広場にシカを落としてゆく。
 うまくゆけば、子どもたちがその陰影を
 拝める。 筈だった。 
  残念ながら、警戒音を一度発して、
 シカたちは、ゆっくり抜け出していった。
 すべてバレバレの網の目をくぐり。

  バスが施設に着いて、みんなの自己
 紹介といっしょに、各々の希望を聞くこと
 が常なのですが、はじめて参加する子
 がナイトハイクを楽しみにしている。こと
 が多い。彼らの想像はいとも簡単に破ら
 れるのだが、それでもみんな満足する。
 暗闇の森を歩いた。 シカの鳴き声を、
 すぐそばで聞き、気配も感じた。
  今度はもっと静かにあるこう。

 事前に明るい森を歩いて、夜に同じ道を
  たどる。 が、ベツモノ。 誰もわからない。
  ヤブコギの練習もする。
  道無き道  熊笹ハードコース。
  けもの道を見つけ、なぞって歩き、シカの
 生態、その合理性と地形を無意識に体感
 してもらう。
  大事なのは"転び方講習"。
  転ばないことを自慢する子どもたちに、
 教えとなるのは 転ばせること。
  そして 自力で立たせて ケガなく、
 乗り越えることの重要性と
 手出ししないという手助けを試みる。

  達成感からの喜び。
 それに対する全面的な賛美と祝福。

   身体の根源的な欲求。
 ワクワク感は危ないから面白い。
 真剣にもなる。ましてや情報の乏しい夜
 の森。わからないのはこわい。
 でも、くぐり抜けて歩いてきた。
 暗闇をみんなで。 
  明るみにもどり、すぐにお風呂へ直行。
 身体も神経もやわらぎ、深い睡眠へ、
  一団は寝食を共にし
  友だちへと結束する。

  おそらく夢の中でもひっそり歩き
 忘れられない一夜 深い記憶として、
 大きな自信になること
 そう願っております。

               K

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