春の森の自然楽校① 一泊二日 @あかぎ交流の家5月19日(土)-20日(日) テント泊

  瞬間に生きる
 晴天の2日間。 新月の夜は雲が陰り、星空とは
 いきませんでしたが、青空は子どもたちを掻き立てました。



       (参加者: 小学生7名。中学生2名。大学生2名。指導実習1名。やまもり3名。)

 少人数ながら、とても充実したキャンプとなりました。
ネイチャーゲーム、火おこし男女対抗戦、春の花さがし、ナイトハイク・テント泊。
朝の探検散歩、クラフト、野外調理。 全部 できました。

               新緑

 風が心地よく流れ、初夏を思わせるほどの日差しに、みずみずしくふっくら
柔らかそうな木々の若葉、その幾通りの黄緑色が山を彩り、賑わせてます。
 ヘビイチゴの黄色い花は鮮やかに輝き、舌状花capitulum)の小さな花々
は子どもたちの格好の花摘みで散策の楽しみ。 春らしくウグイスやらメジロ
やらのさえずりに、キジやコジュケイが轟き、虫たちが元気に飛び回る。
 森が日々一刻、膨らんでゆく。 新緑がとても鮮やかで目を引きました。

 樹々が葉を出しきる前のつかの間、小さく咲いて小さく終わる妖精たち。
特有の淡さを持つ花の季節が終わり、引きかえのやさしい緑が森全体を
覆い、その深みをましていく。  申し分のない 春 な二日間
 テーマに沿って、生き物観察を中心にゲームや遊びを"飽きることなく"堪能"、
味わいました。 スタッフともども。 (おやつの 焼きまんじゅう【田中屋】 好評でした。)

 最近のキャンプ、カメラを子どもに預けて、気に入った写真を撮らせたりする
ことも間々あるのですが、今回、誰かがみつけた体長2cmほどのナナフシ
赤ちゃん、顔を近づけ観察していた5年生に撮影をお願いしました。

 「ホームページに載せるから、顕微鏡モードでしっかり、納得する一枚を・・」

 デジタル機器に慣れた最近の子はすぐに使いこなし、不慣れな持ち主に
データ削除の方法をを教えてくれたほど。 彼女は、わずか2ミリほどの体節で
小まめに動き回る細長いナナフシを、器用にやさしく、あやしながら、気のすむ
まで、バッテリーがなくなりメモリがいっぱいになるまで、ずっと撮影してました。

 ものすごい集中力。 その姿を見てる方が疲れるほど、
 飽きることなく、周囲に捉われもせず、一心不乱の "納得の一枚"
 熱意はプロレベル、評価はお任せします。 (写真参照)  


 火おこしも、色集めゲームも、すべてに亘って子どもたちは手を抜きません。

 団体戦でも個人戦でも、全力。 これが"遊びだと、彼らの顔が物語ります。
仕掛けとして、その場の自然(環境)や理科的な学び、色や匂いや形など、
ゲームには必ず、学習的な要素と身体性を軸にした"体感"や、"気付き" と
いう自然の法則性に触れる喜び、知的好奇心の喚起に重点を置きます。 
         それと、厳格なルールがあること
         彼らは、不思議と従い、絶対に守る。 
 もちろん、夢中になりすぎて、違反者もたまには出るものの、レフェリーが明確、
中立的に判断さえすれば、不満はすぐ解消、受け入れられる。 すぐにでも、
ゲームの再開を望んでる彼らは、回を重ねるごとにエキサイトしてゆく。 

 チーム対抗では、作戦会議がもたれ戦略を練り、個々の能力差を補うよう、
リーダーを中心に合意形成を図る。 みそっかすも輪に入る。 ゲームに勝てば
喜び、負ければ悔しがる。 チームとして、真剣に。
 
 微笑ましいのは、ゲームでは手を抜かないこと。つまらないズルもしない。 
 彼らが魅せる姿勢は、当たり前だが、楽しむためです。
 ルールを求め、与えられた条件のもと各自全力を尽くし、チームとして協力し
 合う。 開始から終了まで、こちらから提供するものはない。 ルールの弱点、
 ゲーム性を繰り返しの失敗から学び、修正、改良していく。 それに合わせて、
 ルールも変わり、より面白くする。 全力で挑み、ルールは絶対に守る
  つまらなくさせるのは、至って大人側からの余計な配慮。 てごころ という
 結果の平等性に差別的な手助け。 本来、介入すべきでない子どもたちだけ
 の世界・時間。 ガキ大将の喪失が悔やまれます。

 この遊びの時間は、彼らのなかにある。 と思います。
 自分たちで場に臨場感を持たせ、おもしろおかしく、ドキドキを作り上げてく。

 ネズミになったり、ウサギになったり、キツネになったり、追いかけっこがその
まま野生動物の生存競争になり、増減が環境問題とつながる。 終了後には、
チーム毎の反省会で感想を伝えあう時間を設け、最後にようやく、レクチャー的
なまとめとして、ゲームの趣旨と生態系の関連性を挙げ、体験を通した学びの
共有化
分かち合いで理解度を深めていく。その頃は疲れきってみんな汗だく
、存分にエネルギーを発散している。 どうして、そこまで。 と思うぐらい、

  夢中になる。

ゲームに没頭する。 我を忘れ、無我夢中に走りまわる。
そんな彼らは、とても生き生きとして、明らかに現在を生きている。

 塾や宿題、友達や家の事。
 これまでの過去や、明日からの未来など全くつけ入る隙間のない
 今、この瞬間を生きている。
 彼らにとっても貴重な時間。
 出し惜しみする訳がない。
    


 今回のキャンプではじめて気づいたことがありました。
 自然体験や林間・尾瀬学校等、いろんな学校の子どもたちのガイドをしてると、
 必ず聞かれるNGワードがあります。
  特に、都会の子に傾向が強いのですが、
   「 いま、何時ですか? 」。 口癖のように、問いかけてきます。何度も。
  それと、
   「 これをやって、なんの意味があるの? 」 と、毒づかれることもあります。
  この彼らが言う"時間"とは絶対時間であり、常に一定で、すべて計画されている。
 予定があり、せわしく追われ、刻まれた枠に、最大限の投資をし、将来のリターン
 を求める。 それがスマートだと、小学生から考えて生き、自分に課せられたこと
 すべてに意味を求める。 意味とは、効率や費用対効果、受験や就職までを前提
 にして、人より得しますか? という、自己充足的な欲求に起因する。

  もはや、楽しいだけでは届かない。 成果がすぐに(数値として)確認でき、
 わかり易いものに評価があり、価値を求め、対価と努力を注ぐ。
 遊ぶのは最大の無駄。 時間の無駄で、意味が分からない。

  ですが、

  その正反対を、写真の子たちは繰り広げてました。
 やまもりのキャンプにくる子は、本当に恵まれてる。 すべて、受益者(参加者)
 負担で、補助金や助成金で運営されている他団体の参加費とは比べようがない。
 それでも、何度も通わせてくれるご家族の方には、いつもありがたく感じておりますが、
 この場で、ぜひ、お伝えしたい。

  今回のキャンプ。 私に時間を聞いてきた子は一人もいません。
 そんなことはお構いなく、休憩時間も遊んでます。
 彼らの過ごす時間はこちらからは計り知れない流れ方をしており、ただ言えることは
  
  明らかに瞬間を生きてます。
                                K  

   P.S. ナナフシわかるでしょうか?

一覧に戻る