雪と氷の自然楽校 ②  -1泊2日- @前橋市赤城少年自然の家3月3日(土)-4日(日)

  奇跡の2日間
天候良好 風もなく 無垢の柔らかい新雪を味わう


恵みの大雪  そして 快晴 微風  

 1週間前の現地下見では、道路や駐車場には雪がなく、
大沼の氷上は水浸しで、森の中にわずかに残る根雪も
くすんで無残なありさまでした。

 これは、プログラムの大幅な修正があるぞ。

 果たして、タイトルに見合ったキャンプが開催されるのか。

 冬の大沼の気候はわりと厳しい。 雪は降ったは降ったで、
一晩に100センチ以上積もることもある。 吹雪で、身動き
出来ず、どうしてもナイトハイクに行きたいという参加者の願い
を叶うべく湖畔まで歩き出したが、腰までの雪を搔き分ける
重度のラッセルとそれを一列で待ち続ける一団は、全員一致
ですぐに引き返した、そんな苦い夜もある。

 今回は雪がない。 湖面もつるつるで危なくなる。


 それが、なんの恵みか、三日前の関東一円に降りそそいだ
大雪。 赤城にもたっぷりと純白の綿を敷き詰めていきました。 

 そこにきて、週末の好天。 とくに初日は、完全なる雪遊びの日。

 とりあえず、大沼の湖上に、その真新しい、まだ誰の足跡もない
見渡す限りの雪のベッドの中を、膝丈まで埋もる柔らかくて軽い
雪を踏みしめながら、歩きました。
 面白いのは、一列で歩けば、道ができ、雪も踏み固まれ、歩き
やすくなるのですが、湖面に出たとこで、足跡は扇型にひろがり、
おのおの悪戦苦闘しながら、わが道を形成する。

 この気分の高揚感は、足跡にも残る。

 動物、とくにキツネなどの残す足跡は一定で、規則正しく、何かしら
の行動目的に準じています。  それとは異なる、愉快な足跡。

 降りそそぐ陽と青い空。 澄んだ空気に 無数に輝く極小の六角形。

 キャンプのはじまりは、すでにその目的を達成したかのような
文句のつけようのない天候でした。

 かんじき履いたり、ソリで滑ったり、山をつくったり、穴をほったり、
スベル。コロブ。ハマル。ウマル。スベル。ノボル。スベル。ノボル・・・。
翌日も、延々とつづく。


 一日中、雪遊びをしている子どもたちを観察していて思うことは
 その並外れた体力だ。 この森にリフトなどはない。
 滑った分、苦労して上まで歩かなければならない。不安定な足場を。

 汗だくになり、顔を赤らめて、呼吸を乱しながら、せっせと登ってくる。

 すぐさま、歓声をあげながら滑り込んでゆく。

 どうやら、距離を競ってるらしい。

 誰が一番 遠くまで滑れるか? 


 同じラインで滑っていると、雪が絞まりだし、ソリも加速する。
 距離も伸びだし、新記録がどんどん更新されてゆく。

 体重のかけ方、体制の維持、ポジショニング、上向き、下向き。

 試行錯誤して、ベストをさがす。 すべて自分で。工夫して。

 誰よりも遠くへすべるために。


  コースに飽きると、違うコースを作り出す。もちろん、明らかに、
危険な角度や、樹木などの障害物があるところは、やめてもらう。

 ほかは、一切の指導がない。

 彼らは勝手に遊びをみつけ、ルールを決めて、存分に楽しむ。
今日、はじめて会った子どもたちが、協力してコースをつくり、
分担して、改良して、滑走距離を競っている。  真剣に。 

 
 ナイトハイクは、風が無風に近く、寒さはそれほどでもありません
でしたが、星空は霞んでいました。月の暈(かさ)がしっかり出てて、
上空の冷たさがいっそう身に染み、湖畔の家々の明かりが遠くに
見える程度、それでいて、ぼんやりと淡白く浮いている夜の雪。
 恒例の剱持フクロウは、暗い森の中で、今回もみんなの挑戦を
退けました。

 朝の散歩も大勢が参加し、湖面に座りながら、朝陽が昇るのを
感慨深げに見とれてたのが印象的です。

 よく遊んで、よく食べて、みんなでお風呂に入り、みんなで布団の
中に寝る。 よく遊びました。 本当に。

 帰りのバスの中は静寂。 心地よい揺れと、疲れきった身体。
しっかりと赤城の雪山を体に験(しるし)つけ、長い週末を終える。

  たぶん、天気のおかげです。
 翌日、剱さんが、荷物を取りに、現地まで行くと、大雪で大荒れ
だったそうです。 そう思えば、奇跡の二日間でした。

                             K


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