石垣植生調査 ~南牧村を歩く~ その1

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現在なんもく校を拠点に南牧村の石垣の調査を行っています。

群馬県の文化事業の一環で、南牧村のほぼ全域にわたって点在する石垣の主に植物の生育状況について見て回っています。
ときどきやぶの中に飛び込んでさまざまな石垣を見ている一団がいたら「これだな...」と思ってください。



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南牧村と石垣文化には切っても切り離せないものがあると思います。
ぐんま山森自然楽校なんもく校の校舎も石垣の上に建てられています。
また、なんもく校から川や山へ遊びにいくときにも必ず石垣を見ます。
石垣の上に家が建っている場合や、石垣の上が畑になっていたり、杉林になっていたりと、その状況は様々です。










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石垣の作りはいろいろありますが、昔ながらの石垣と思われるものは形がそれほど均一ではない石が無造作に積まれているような構造をしています。
大きさはだいたい似たような大きさの用に見えますが、わりとまちまちです。
南牧村には大きな岩が集落に点在しており、そういう岩のある場所も活用するように、石垣と一体化しているような場所も数か所みられました。(左の写真のように)












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少し歩いて車の通れないような山沿いの歩道に入ってもまだ石垣は続いています。
細い道を守るように高い石垣が、また、よく見ると歩いている歩道は石垣の上であったりします。
この道は歩道の両脇が林になっていて、杉だけでなく多くの広葉樹がみられました。
このときはまだ少し早かったですが、紅葉の季節にはとても綺麗な彩りになると思います。
この石垣は奥まで続いています。
奥まで行くとそこは石垣の秘境のように石垣が何段にも重なっていました。
過去には畑として使われていたのかもしれません。今は杉などの木が植えられています。
右の写真はわかりにくいかもしれませんが、真ん中を沢が流れており、その両脇に何段かの平地を作るように石垣が建てられています。
現在は既に使われていない様子ですが、石垣自体はいまだ健在でその機能を果たしているようで、崩れている様子はありませんでした。


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この場所は畑と畑の間です。右側は小さな石垣が積まれており、奥に行くにつれてこの坂道を下って行くのですが、その坂道を守るように石垣が高くなっていきます。
左側にも石が並べられています。
小さな石垣の小道になっており、その両脇が畑になっています。
このような小さなところにも石垣を築く文化があり、これはあまり平地では見られない光景です。















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石垣で見られた植物についてはまたあとで触れようと思いますが、ここでは南牧村で見られた特徴的な様子を紹介したいと思います。
左の写真は割と奥のほうの斜面で発見した石垣です。
石垣を覆っているのはお茶の木でした。
ちょうど花をつける時期でお茶の白い花や、茶の実を見つけることができました。

南牧村ではお茶の生産をしていたようで、いたるところでお茶の木を見ることができます。
そういったお茶を作っていた畑の下や、その近くにあった石垣にお茶の木が自生しているのです。
石垣の隙間の奥のほうには土があり、また石垣の多くは日当たりのよい条件(南向き)に作られているところがあり、多くの植物を育む温床となっていることがあります。
石垣が南向きで立っていることが多いのは、石垣の上が畑として利用されていたからかなと思います。



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この日は一部の地域をまわってみただけでしたが、多くの石垣とそこに生育する植物に出会えました。
ほんの少し路地に入り、生活歩道を歩くとさまざまな秋の風景と石垣、そして石垣と共生する人の生活と自然の姿が見られます。
石垣がいくつか連続して築かれていたところはまるでその上にお城があったのではないかと思うような迫力です。
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